江戸時代のトレンドは緑色!?花魁も使っていた高級口紅について

「口紅」と聞けば、赤やピンクをイメージされる方が多いでしょう。
しかし、花魁をはじめとした江戸時代の遊女たちが、緑色の一風変わった口紅を使用していたのをご存じでしょうか。
今回は、江戸でメイクが流行した一風変わった背景や、花魁が使っていた高級口紅についてご紹介します。
花魁を筆頭にメイクが大流行!その背景は「浮世」にあり
実は日本でメイクが流行し始めたのは江戸時代からでした。
江戸時代は「世の中が辛くはかないものなら、いっそのこと今を思いきり浮かれて楽しもう」という「浮世」の考え方が浸透していました。
長く続いた戦乱の世が終わり、幕府の統治のもとで経済活動が活発になったことで、大衆文化が大きく発展を遂げた時期でもあります。
そんな江戸時代に大きく花開いた文化の1つがメイクで、花魁や歌舞伎役者などがインフルエンサーとなってトレンドを牽引しました。
お洒落や美容に関心のある女子がこぞってコスメを買い求めていたのです。
緑色の輝きは豊かさの証!花魁が使っていた「小町紅」とは
当時流行していたメイクのなかでも、一際目を引いたのが「小町紅」です。
「小町紅」は京都産の高級口紅で、現在の価格にすると6~7万円という高い値段で取引されていました。
この「小町紅」には、濃く塗り重ねると唇が緑色に見えるという特徴があります。
そこで、花魁をはじめとした遊女たちは、豊かさの象徴として「小町紅」を取り入れたのです。
花魁をお手本に、庶民の女性たちもメイクに取り入れようとしますが、高級品をふんだんにつかったこのメイク方法はなかなか手が届きにくいものでした。
そこで女性たちが編み出したのが、ベースに墨を塗ってその上から薄く廉価な紅をつけるという技です。
このような工夫を凝らして、庶民の女性たちもトレンドメイクを手軽に楽しんでいたようです。
緑色の口紅は日本独自の美から生まれた文化?
現在の私たちの色彩感覚に照らすと、かなり違和感のある「緑色」の口紅。
ヨーロッパや中国など、同時代の他の地域で「緑色」の口紅が流行ったという記録は残されておらず、これは日本独自の文化のようです。
この日本独自の文化が生まれた理由の1つとして、当時の光の当たり方が関係していると言われています。
江戸時代の日本には蛍光灯はもちろんなく、街灯などもないため、日が暮れると街も家の中も真っ暗でした。
夜には灯油を使った行灯をつけるのが一般的でしたが、ほのかに人の顔が認識できる程度の明るさです。
行灯の薄暗がりのなかでは、緑色の唇がより妖艶に写ります。
花魁や遊女が積極的に「小町紅」を取り入れたのは、より美しく、そしてつやめかしく見せたいという意図があったのではないでしょうか。
光だけでなく影も「美」の1つの要素として取り入れる、日本独特の美意識を反映したものなのかもしれませんね。
当時の花魁は工夫を凝らしてメイクを楽しんでいた
今回は江戸時代の花魁も使っていた高級口紅をご紹介しました。
花魁のメイクやファッションは当時の女性のお手本だったため、一風変わった緑色のメイクをあえて先駆けて実践していたのかもしれませんね。
口紅に関連して、別の記事では花魁風のメイク方法について解説しています。
花魁風のメイクを実践してみたいという方は、ぜひこちらの記事も併せてご覧ください。
花魁メイクってどうやるの?理想通りに仕上げるコツは目元にあり!
また、自分で花魁風のメイクをまねるのはハードルが高いという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
京都の花魁体験studio雅では、プロによるメイクと着付けで、現代風の花魁になりきれます。
こちらで花魁体験の流れについてご紹介しているので、ご興味のある方は併せてご覧ください。