似ているけど違いがたくさん!花魁と芸者を見分けるポイントは?


現在では存在しない「花魁」に対して、今も職業として存在する「芸者」。
「花魁」や「芸者」と聞くと「豪華な着物に身を包み綺麗なかなかんざしを付けた女性」というイメージを持ち、これら2つの違いが分からない方も多いのではないでしょうか。
今回はそんな「花魁」と「芸者」の見分け方についてご紹介をしていきます。
何が違うの?「花魁」と「芸者」の違い
その艶やかさと華やかさが人気の「花魁」と「芸者」ですが、両者には似ているようで明確な違いがあります。
ここからは、「花魁」と「芸者」を見分ける4つの違いを見ていきましょう。
1.売るものの違い
そもそもの花魁と芸者の違いとして「売るもの」が挙げられます。
花魁がいた当時、芸者が花魁のように客との関係を持つことはご法度でした。
芸者が花魁の仕事を奪ったとされ、いざこざに発展してしまうことがあったからです。
幕府公認の吉原遊郭では、花魁と芸者が担う仕事の幅はしっかりと分けられていました。
隠れて客の相手をしてしまった芸者には追放処分などの厳しい制裁が加えられることも。
そのため、芸者は「芸」を売り、花魁は身体も含めた「女性との理想の恋愛」を売ることが徹底されていました。
2.帯を結ぶ場所
花魁と言えば、大きくて華やかな帯を前結びにしているのが特徴的ですよね。
帯を前結びにする理由は、花魁の格の高さを表す帯の最も豪華な部分を見せるためでした。
また、花魁という言葉には「一夜妻」という意味合いがあることから、既婚者の証であった前結びをしていたとも言われています。
一方で、同じように豪華な帯を締める芸者の場合は後ろ結びにします。
芸者が後ろ結びにする理由は、踊りや楽器などの芸を披露するのが仕事のため、帯を前側に結んでしまうと邪魔になるからです。
3.着物の裾を持つ手
花魁も芸者も「お引きずり」と呼ばれる長い裾の着物を着て、外を歩くときには裾を捲り上げ手で持ちます。
このとき、「褄(つま)※1」の持ち手が、花魁は右手、芸者は左手という違いがあります。
これには、花魁が色を売り、芸者が芸を売るのが仕事という違いにも関係しているのです。
芸者が左手で褄を持つと襦袢(じゅばん)※2の合わせ目から手を入れられなくなります。
芸者の「芸は売るが、色は売らない」という意思の表示として、裾を左手で持つのが決まりになっています。
芸者を「左褄」と言ったり、芸者になることを意味する「左褄を取る」という慣用句があったりするのも、このならわしが由来です。
一方で花魁は、色を売るのが仕事のため、逆に褄を右手で取っています。
※1:褄(つま)とは長着の裾(すそ)の左右両端の部分 。
※2:襦袢(じゅばん)とは和服用のインナー。
4.廓詞(くるわことば)
花魁と芸者には、言葉遣いにも違いがあります。
それが廓詞(くるわことば)と呼ばれるもので、花魁が使用していたとされています。
廓詞とは、全国各地から集まった花魁たちの方言を和らげるための言葉遣いで「~ありんす」という語尾が特徴的です。
方言を隠すこと以外にも、気高く優雅な印象を与えるために用いられたのだとか。
当時の男性にとって花魁は理想の恋を叶えてくれる憧れの存在でした。
そうした思いに応える手段の1つとして、優雅な響きの廓詞が使われていたという意味もあります。
ちなみに、廓詞が使われていたのは東京の吉原遊郭限定で、大阪の新町遊郭、京都の島原遊郭では関西弁が使われていたそうです。
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今回は、花魁と芸者を見分けるポイントについて解説しました。
現在では花魁を実際に見ることはできません。
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また、別の記事では今回ご紹介した廓詞を含む花魁言葉についてより詳しく解説しています。
気になる方はぜひこちらの記事もご覧ください。